Wheels Of Blue

何者でもない人間のひとりごと

パディントン発4時50分

暖かすぎた一日。クリスティパディントン発4時50分を読了。う〜む、なんというべきか…。読みやすく自然体の作品だが、軽量級。よくいえば、暇つぶしにはなったか、という感じ。序盤の殺人事件が目撃されるところはすごく良かったし、途中もストレスなく読み進めることができたのだが、結末に不満あり。「え、それだけ?」というくらい捻りがなかった気がする。本格ミステリのつもりでいたのに、虚をつくような発想(トリック)や、「なるほど」と思わせるような論理性に欠けていたように思う。(犯人は犯行を実行できた人物として一番自然な者だったし、動機も想像できるものだったが。)だからか、巻末の解説では、こういう感想を持たれることを見越して、クリスティはトリックもの書ける、と遠回しに弁護しているようにみえた。なにしろ、あの「アクロイド殺し」を書いた作者だしね。今回の作品は、それと同等の傑作とは絶対違うし、次はもっといいのに当たるといいな。そういえば、この作品、やたら不幸な夫婦が出てくるよ。夫を亡くした妻とか、妻を亡くした夫とか。それに、二人とも生きているけれど、それほど仲が良くないカップル。ちゃんと、意味のある設定なのですな。